指揮を取る立場の防衛政務官が血迷って戦場で手の内をすべて明かしてしまったのだから話にならない。防衛大臣の中谷はこの藤丸敏防衛政務官という無能な指揮官に厳重注意という処分を下し取り繕いに必死だが、これまでどおり本性を隠し県民を騙し続ける作戦はバレバレとなってしまったわけだから問題の解決は永久にありえない。オスプレイの佐賀空港配作戦は完全に実行不能になってしまった。御用マスメディアのはびこる日本にあって佐賀新聞も今ひとつ煮え切らない論説を繰り返してきたが、ここへ来てようやくオスプレイ配備反対の姿勢を鮮明にしたようだ。4月2日付け佐賀新聞の論説は問題の本質をはっきりと突いている。

オスプレイ配備
一議員の発言では通らぬ

 新型輸送機オスプレイの佐賀空港配備計画をめぐる防衛省幹部の発言が波紋を広げている。防衛省は「一議員の発言」と火消しに躍起だが、発言の主は防衛省の政務官であり、大臣、副大臣に次ぐナンバー3の立場だ。私的な発言だったという言い逃れは、まったく通用しない。

 藤丸敏政務官は先月28日、佐賀市内で開かれた講演会の席上、佐賀空港西側の用地取得費として14億円、移転補償費として1億9千万円を計上していると明らかにした。しかも、佐賀県が条例で定めている環境影響評価(アセスメント)の手間やコストを避けるため、当初はアセスの対象から外れる30ヘクタールにとどめておき、残りは後から買うという“秘策”まで披露してみせた。

 オスプレイの配備計画が浮上して以来、私たち佐賀県民は、どれほど環境や暮らしへ影響が出るかを、もっとも懸念してきたはずだ。それが、アセスを軽視するばかりか、抜け道を探ろうとしていたとは、あきれるばかりだ。

 さらに藤丸氏は、来年度予算の概算要求の時期を理由に「6月議会で決めてくださいとなる」と、佐賀県側が返答するタイムリミットまで設けてみせた。

 防衛省の都合はどうあれ、簡単に結論を出せる問題ではない。安全保障上の必要性はどれほどか、有明海の環境は変わらないのか、県民の住環境はどうか、佐賀空港の民間空港としての発展に支障は出ないか-。さまざまな観点から論じられ、賛否が交錯している中で、タイムリミットを設けるとは実に無神経であり、身勝手な言い分ではないか。

 現地調査を拒否してきた県有明海漁協の徳永重昭組合長が、アセス逃れの姿勢に「自分たちだけで何でもできると思っているのか」と不快感を示したのも、まったく同感だ。

 ただ、振り返ってみれば防衛省は、肝心な部分で具体的な内容をあいまいにし続けてきた。その意味では、藤丸政務官の発言はきわめて率直であり、佐賀空港で何が行われようとしているかを県民に知らせたという意味はある。

 問題は、ここに至ってなお、「一議員の発言」として、正面から取り上げようとはしない防衛省の対応だ。中谷元・防衛相が口頭注意したようだが、政務官は大臣、副大臣とともに「政務三役」と呼ばれるもっとも中枢の幹部であり、すべてを知りうる立場だ。

 今さら発言のすべてがうそだったと説明されても、にわかには信じがたい。これだけ大きな政治課題にまつわる問題だ。もしうそなら藤丸氏は政治責任を問われる。

 そもそもオスプレイ配備の実現には県民の理解が欠かせない。その根底となるべき信頼関係が、まったく築かれてはいない。自治体や漁協から不信の声が相次いでいるのも当然だろう。

 いったん佐賀空港への配備を受け入れれば、“後出しじゃんけん”のように不都合な情報が出てくるのではないか。将来的には米軍オスプレイさえも日常的に飛来するようになるのではないか、そんな不安が渦巻いている。

 安全保障上の必要性が本当にあるのならば、防衛省はその場しのぎの言い逃れはやめ、佐賀県民に正面から向き合い、誠実に対応してはどうか。(古賀史生)
ronsetu

政務官発言、佐賀県議会に波紋

佐賀空港へのオスプレイ配備計画をめぐる防衛省の藤丸敏政務官の発言が、佐賀県議会にも波紋を広げている。2月定例議会で議論促進を求める決議を賛成多数で可決した直後のタイミングで、環境影響評価(アセスメント)回避をにおわすような用地取得計画を明かしたり、6月議会での諾否判断を促す発言などを連発。中谷元・防衛相が藤丸氏を口頭で注意し火消しに走るものの、決議を主導した自民党内からも「今までの議論がすべて水の泡」と反発の声が漏れる。

 「現場に居合わせていないのでコメントできない」。自民党県議団の石井秀夫会長は、さらなる波紋を警戒して慎重に言葉を選ぶ。他の自民県議も沈静化を意識してか表立った発言を控える。

 ただ内心に怒りを抱える自民県議は少なくない。あるベテラン議員は「特別委員会を設けて時間を重ねて議論し、さらに決議を可決して『さあ次へ』というところであの発言。全部壊れた。ゼロというよりマイナスになった」と苦り切る。

 別の議員も「これまでの特別委員会の議論の経過を知っていれば『6月議会で判断を』なんて到底言えないはず。地元での議論を把握しないで発言したとしか思えない」と憤まんやるかたない様子だ。

 自民党にとって、さらにマイナス材料となるのが、藤丸政務官の講演時に同席していた藤木卓一郎県議の発言だ。藤木氏は、オスプレイ問題を審議する県議会の特別委員長を務める。

 藤木氏は「佐賀県、市、漁協が対等な交渉窓口であるはずがない。佐賀県がリードしてしっかり議論できる環境をつくるべきというのが今回の決議」「自民党はおおむね推進の立場と思ってもらっていい。公明もそうだ。県民ネットワークも賛成の方が正直多いと聞いた」と言及した。

 「デリケートな問題なのに軽率すぎる。発言はもちろん、こうした会合に出席することすら慎重に考えないといけないのに」。ベテラン議員は苦言を呈する。

 「自民と同じ推進の立場」とされた公明の中本正一県議は「決議には賛成したが計画の賛否は決めていない。不快としか言いようがない」と自民党県連幹事長に抗議したことを明かした。政務官の発言にも「今までの説明と矛盾する内容で信頼関係を損ねる」と強調、「政務官の招致が議論になるなら検討に値する」と話す。

 特別委理事でもある県民ネットの江口善紀県議は、藤丸政務官、藤木県議の発言の事実関係などを確認するため、特別委の理事会開催を求める。「これまでの議論では説明されなかった数字も出てきている。防衛省の姿勢をただすべき」と主張した上で「『アセス逃れ』をあからさまに発言したことも大きい。県条例でもあり、事実だとすれば無視できない」と問題視する。

 防衛政務官、そして所属会派議員の発言による「失策」に「完全に先が見通せなくなった」とある自民県議。6日に県議団総会を開くという自民党は、藤丸政務官、藤木県議の発言も議題に上がる見通しだが「何らかの対応や方針がまとまるのかどうかは何とも言えない」というのが実情だ。

オスプレイ配備 藤丸政務官の発言要旨

佐賀空港へのオスプレイ配備計画をめぐる防衛省の藤丸敏政務官の発言が、佐賀県議会にも波紋を広げている。2月定例議会で議論促進を求める決議を賛成多数で可決した直後のタイミングで、環境影響評価(アセスメント)回避をにおわすような用地取得計画を明かしたり、6月議会での諾否判断を促す発言などを連発。中谷元・防衛相が藤丸氏を口頭で注意し火消しに走るものの、決議を主導した自民党内からも「今までの議論がすべて水の泡」と反発の声が漏れる。藤丸政務官の発言要旨は次の通り。

 【環境アセスメント】

 (取得用地が)35ヘクタール以上になると、(環境アセスの)調査をしないといけない。一から全部。35ヘクタール以下だと、あんまりせんでいいと。じゃあ35ヘクタール以下でいいじゃないかということで、とりあえず35ヘクタール以下となった。僕は全部買えよ全部と言ってる。そしたら環境調査をせんといかんと。それなら、一部買って、また次を考えますという風にしていいんじゃないかと。(中略)ほかの広い土地でいいじゃないかと言う人もいるが、環境アセスは4年ぐらいかかる。それをしてると間に合わないので、基本的には佐賀しかない。

 【諾否の判断時期】

 平成29(2017)年度予算は、1年前に要求するから、財務省に8月概算要求を出すが、6月ぐらいがリミットなので、だいたい6月議会で決定してくださいと。これが決定しなかったらどうなるのか。5機分はもう米国に発注した。平成31年3月には来る。どっかに預かってもらうことになる。相浦、佐世保に武器など機材を輸送するのが目的なので、木更津から飛んでくるのは考えない。目達原にはちょっとは置けるかもしれない。滑走路が600メートルしかないので、なかなか置けない。

 【オスプレイ配備の危険性】

 (佐賀空港に)オスプレイが来ることで、攻撃されるのではと言う人もいる。そう簡単に戦争にはならない。(敵は)基本的には首都をたたく。中枢機能をたたきに行くでしょうから、あんまりこっちに撃ってくることはない。危険度が増すということはあんまり、多少はあるかもしれないがそんなに考えなくていい。

 オスプレイは危険じゃないかと言うが、(ヘリコプターのように)着陸もできるし飛び出しは飛行機で速い。オスプレイが圧倒的にいいことは間違いない。でも落ちるじゃないかと。なめてると落ちる。訓練は相当しとかないと危ない。