ブルガリア「原発」国民投票・現地レポート(第3回) by しばけん

「首相、突然YesからNoへ。」

大学の隣の大きな駅で配られていた週間新聞。「AHOHC」

大学の隣の大きな駅で配られていた週間新聞。「AHOHC」

国民投票は日本ではまだ行われたことがない。しかし世界では既に1100件以上も行われており、「国民の大事なことを決めるのは、国民投票で」が常識になっている。

ブルガリアでも1922年、1946年、1971年にそれぞれ、君主制から共和制に移行について、国家犯罪について、憲法についての国民投票が行われている。しかし、1989年の共産主義政権崩壊以来は一度も国民投票が行われたことがなかったが、今回、民主化して以来、初めての国民投票が行われることになる。

昨年11月に実施されたリトアニアでの「原発」国民投票は、総選挙と一緒に行われたため、政党は国民投票ではなく選挙のことに力を注ぐことになった。国民は原発に加えて、どの政党を選ぶかについても、考えなければならなかった。しかし今回のブルガリアの国民投票は単独で行われるので、選挙と同時に行われるよりも原発に焦点が当たりやすい。

今回成立したブルガリアの国民投票法はどのようなものだろうか。
基本的に、普段の選挙と同じように行われると報じられている。大統領が法令を発行した時点で、ブルガリアで市民権を持っていて、住所があり、拘留などを受けていない18歳以上のすべての人に投票権が与えられる。また在外ブルガリア人にも投票権が認められているが、投票できる場所は、大使館か総領事館のみである。

中には原発国民投票の特集。 賛成意見と反対意見が並べられている。

中には原発国民投票の特集。
賛成意見と反対意見が並べられている。

有権者は白い投票用紙に書かれた「新しい原発で原子力利用を発展させますか?」という問いに「はい」か「いいえ」を選んで、青いペンで記入することになる。

また今回の国民投票が法的な拘束力を持つのは、最低でも前回の2009年に行われた総選挙と同じ人数の投票が必要である。つまり4345250人(約60%)以上の投票が必要であり、そのうちどちらか一票でも多いという結果が出て有効になる。

ブルガリア国民は原発はコスト削減になる、または雇用を生み出すと思っているようで、原発に賛成派が多数を占める。ブルガリアの失業率は11.3%で、仕事を求める若者の海外流出も激しい。これはブルガリアの直面している大きな問題の一つだ。世論調査国家センターによると(1月6日現在)回答者の62.5パーセントが賛成。その一方で反対は37.5パーセントだった。

原発賛成派の圧倒的優勢かと思われたが、しかし投票の2週間前の1月12日になって、首相のボイコ・ボリソフが突然「国民投票で『No』とGERB党員や支持者に呼びかける」とTV7という番組で訴えたのである。これはGERB党員などを狼狽させた。僕もかなり驚いてこのことについて、ブルガリア市民に意見を求めると、意外にも彼らは冷静であった。なぜなら、ボイコ首相は意見をよく変えるので最後までわからないということだそうだ。しかし、この首相の「No」発言によって「No」と投票する人が増えるかもしれないと言う人もいた。

「新しい原発で原子力利用を発展させますか?」
投票日は1月27日。即日開票される。

次回はブルガリアの現在唯一の原発「コズロデュイ原発」について。

参考
東京新聞
Sofia News Agency 他


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プロフィール
大芝健太郎 しばけん
26歳 フリーライター
「原発」国民投票賛同人
「原発」国民投票 調査団のメンバーとして
リトアニア国民投票も現地取材

月刊「社会運動」連載中
雑誌「NOU LIFE STYLE」他

Blog: http://shibaken612.blogspot.com
Twitter: https://twitter.com/shibaken612


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