ブルガリア「原発」国民投票・現地レポート(第4回) by しばけん

ブルガリアは既に原発を持っている。ブルガリアの北部、ルーマニアとの国境であるドナウ川沿いのコズロデュイに計6炉の原発を所持している。1号炉は1974年から稼働開始、その後も次々と建設し1991年には全6炉が完成し、最大376万kwを発電していた。老朽化のため2002年には1.2号炉を停止、2007年にはEU加盟の条件として3.4号炉を停止させたが、5.6号炉は現在も稼働中で、100万kwずつ。合計200万kw(ブルガリアの総電力の3割)を供給している。5.6号機の稼働は2017年、2019年までの予定であった。

マクドナルドの「M」のマークに放射能のマーク

マクドナルドの「M」のマークに放射能のマーク

去年の春、ベレネ原発建設計画中止を決めたあと、GERB政権はコズロデュイ原発5.6号機運用期間延長の準備調査を開始した。それぞれ2017年、2019年までとされている現行の運用期間を、2037年まで延長するもので、改修プロジェクトの費用は2.5億ユーロ程度が見込まれている。

一方で原発建設計画が中止されたベレネの人たちの反応はどうか。ベレネ市長のペーター・ドゥレフは「大多数の住民が、国民投票の結果によって、ベレネ原発計画の再開を望んでいる。新しい原発はインフラ整備の一つであり、EUの許可もおりている。これはベレネだけの発展ではなく、プレヴェン地域、ブルガリア北部、しいてはブルガリア中の発展につながる。求人も増え、経済的発展も自慢できるようになるだろう」と発言した。

ベリコ・タルノボ主教は多くの市庁舎や、地方の寺院で原発計画の復活させようと願う人を組織して、国民投票で賛成多数の結果を残せるように、会議やコンサートをやるつもりだと言う。

原発反対派はどうか。首都ソフィアを毎日歩き回っているのだが、全くポスターやチラシなどをみつけることができない。ただ、唯一見つけられたのは、マクドナルドの「M」のマークに放射能マークがついていたくらいであった。

ただ原発には反対というブルガリア人女性に話を聞いていると「そういえば今日、原発国民投票のことじゃないけど、デモがあるのよ。あと30分後に始まるんだけど行ってみる?」と言われて場所を教えてもらうなり、出発地点まで直行した。

近づくにつれて何やら騒がしい。ラッパや、フエの音が鳴り止まない。集合場所は交差点なのだが、出発直前ということもあり、すごい人だかりだ。しかも大通りなので、その横を路面電車が通り抜けていく。パトカーの青いランプも、ブルガリアの国旗も、プラカードもピエロみたいに変装している人もいて、見た目にもとても騒がしい。

大通りをねり歩く「Save Green」の人達のデモ

大通りをねり歩く「Save Green」の人達のデモ

詳しく聞かないで、出てきてしまったのだけれど、このデモは海や山や森など、自然を破壊する開発に反対する人たちのデモだった。ここにいる人たちは、ほぼ全員原発にも反対しているようだ。僕が聞いた中でも、一人だけ「原発は難しい」と言うおじさんがいたが、その人以外は、みんな反対の人達だった。

しかし、なぜ国民投票が近いのに、しかも原発反対の人たちがこんなに多いのに、原発反対のデモをやらないのかとても不思議だ。「なんでソフィアに原発反対のポスターとかチラシがないのですか?」と聞くと「それはお金がないからよ」と言っていた。別に禁止されているわけではないようだ。それにしても若い人もたくさん参加していた。そして、おじちゃん、おばちゃんも。子ども連れの人も何人かいた。何人くらいいたんだろうか。3000人くらいであったのではないかと思う。

デモ後は広場に集まって「マフィア!マフィア!」と国会に向かってコールしていた。山や海を売るなと。最後にこのデモをオーガナイズしていた緑の党の議長に「ちょっと今度ゆっくりお話を…」と伺ったら快く引き受けてくださった。

次回は「緑の党議長のインタビュー」


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プロフィール
大芝健太郎 しばけん
26歳 フリーライター
「原発」国民投票賛同人
「原発」国民投票 調査団のメンバーとして
リトアニア国民投票も現地取材

月刊「社会運動」連載中
雑誌「NOU LIFE STYLE」他

Blog: http://shibaken612.blogspot.com
Twitter: https://twitter.com/shibaken612


2013年1月28日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:海外情報

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