ブルガリア「原発」国民投票・現地レポート(第8回) by しばけん

ブルガリア中央選挙管理委員会の最終報告

ブルガリア中央選挙管理委員会の最終報告

最終的な結果がブルガリアの中央選挙管理委員会から発表された。ブルガリア有権者が6,950,900人、そのうち投票人数は 1,405,463人 で投票率は20.20%、賛成が60.60%、反対が37.96%、無効1.436%という結果。前回の総選挙の投票人数に及ばなかったため法的拘束力は持たないが、20%を超えたため国民投票の結果が議会にかけられ、3ヶ月以内に審議されることになる。ちなみに20%を下回ると国民投票の不成立として、この結果は議会にもかからなくなる。投票率が20.20%なので首の皮一枚つながったという形になった。

ブルガリアの新聞記者ベセリン・ストイネフは去年の10月に行われたリトアニアの原発国民投票と今回のブルガリアの原発国民投票を比較して「考え無し、情報無し、恐れ無し」と批判した。

ブルガリアの新聞「ROAD」 「国民投票、考え無し、情報なし、」

ブルガリアの新聞「ROAD」
「国民投票、考え無し、情報なし、」

今回の原発国民投票はベレネの原発計画中止に反対して野党の社会党(BSP)が「ベレネ原発の建設を問う国民投票」を進めてきたものだが、与党の中道右派のGERBによって「新しい原発の建設の是非を問う国民投票」と変更され、コズロデュイのことなのかベレネのことなのか、それともそれ以外なのか…一体何について問われた国民投票だかわからなくなり、どう考えて投票していいのかわからないような状況で行われていた。次に、情報が行き渡っていない。新しい原発にはどれだけの予算が必要か、ブルガリアにはどれだけの電気が必要か、放射性廃棄物の処分はどうするのか…等の情報がほとんどの国民に知らされぬまま、情報が十分でない状況で行われた。更に、フクシマの現状や、チェルノブイリの悲惨な状況、そして、電力が足りなくなるのか…等。賛成派も反対派もこの原子力発電の深刻な問題点を意識することもなく、恐れがないままに、国民投票は行われてしまった。

リトアニアの国民投票の設問も「新規原発の是非」であったが、議論はビサギナス原発に焦点が絞られていた。そして、リトアニア人は「半年前から続く原発の論戦に飽きた」という人もいるほど議論されていて、原発をどうするかに関して、話を聞くと多くの人が自分の意見を持っていた。しかしブルガリアでは投票2,3日前になっても、どちらに投票するか、決めかねている人も多く「情報が足りないから判断できない」という人も多かった。実際に街頭アンケートで「今回の原発国民投票に反対」と答えた27人のうち19人は「もっと情報が行き渡ってから実施すべき。」を反対理由にあげている。

今回のブルガリアの国民投票は成功か失敗かと言えば。失敗だろう。設問は曖昧で、十分な情報が行き渡らず、議論も活発にならず、ボイコット運動も起こり、投票率も低かった。国民投票は万能ではない。やり方次第で、時間と情熱とお金に見合った結果が現れないかもしれない。しかし今回のブルガリアの国民投票でさえ、政治家の、原発や国民に対する意識を明らかにしたことは、今年の7月におこなわれる総選挙につながるだろう。そして伝統的な原発推進のブルガリアで、多くはないが、反対派の意見が求められたり、議論されたりしたことは、国民投票がなければ起こらなかった。


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プロフィール
大芝健太郎 しばけん
26歳 フリーライター
「原発」国民投票賛同人
「原発」国民投票 調査団のメンバーとして
リトアニア国民投票も現地取材

月刊「社会運動」連載中
雑誌「NOU LIFE STYLE」他

Blog: http://shibaken612.blogspot.com
Twitter: https://twitter.com/shibaken612


2013年2月1日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:海外情報

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