代表就任のご挨拶 - 杉田敦(政治学者)

杉田 敦(政治学者、法政大学教授)

杉田 敦(すぎた あつし)
1959年生まれ。法政大学教授。政治学者。『デモクラシーの論じ方―論争の政治』(ちくま新書)、『境界線の政治学』『政治への想像力』(以上、岩波書店)ほか。

 
このほど、宮台真司さんと共同で代表をつとめることになりました。よろしくお願いします。


福島第1原発の事故が起こるまで、私は原子力の問題について、自分の問題としてきちんと考えていたとは言えません。新潟県巻町(当時)などの住民投票に関心をもち、直接投票の意義について政治学の立場から述べたりはしていましたが、自分が運動に加わることはありませんでした。


しかし、事故の衝撃の中で、原発災害の影響の大きさや、収拾するまでにかかる年月の長さを知り、そして放射性廃棄物の処理が解決不能であることなどを意識する中で、原子力発電の是非は、未来の社会のあり方を大きく左右する倫理的な問題であり、したがって、広く人びとが参加する形で議論され、決定されなければならないものだと強く思うようになりました。


さらに、この問題が、従来の政党政治の枠組みの中で十分に争点化されないものであり、したがって、選挙によって決着させるのが難しいことは、先日の総選挙でも、ますます明らかになっています。


事故発生から間もなく2年が経とうとする今日、福島の状況は依然として厳しいにもかかわらず、一部では、危機感の風化が進んでいるようです。しかし、単に「見ないふり」をするだけで問題が消えてくれるわけではないこと。それこそが、3・11の教訓ではないでしょうか。


直接投票にも、たしかに弊害はあります。しかし、選挙にも弊害はありますし、どんな制度にもそれぞれの得失があります。だからこそ、民意をよりよく反映するためには、さまざまな回路をうまく組み合わせなければならないのであり、それは実際、世界中で行われていることです。


これからの会の一層の発展のため、みなで議論を深めて行きましょう。


2013年2月16日 | コメント/トラックバック(2) |

カテゴリー:ニュース

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コメント

  1. 石黒 孝一 より:

    先日入会したばかりの新人ですが、当会の理念は尊敬しております。しかし、大阪市5万筆。東京都32万筆。静岡県16万筆。新潟県7万筆。・・各議会で否決された住民投票条例案を生かす為にも、工夫が必要かと感じます。『国民投票が実現した場合の設問(第4次市民案・素案)』の末尾に私案を提示しました。御一考下さい。

  2. 上田健一 より:

    会に賛同します。原発はすぐストップを。せめて、日本政治がヨーロッパ並みになってほしいです。島根原発に何かあってもとても車で逃げられません。


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