大阪都構想(大阪市廃止・分割)に関する住民投票についての提言

大阪都構想(大阪市廃止・分割)に関する住民投票についての提言

2015年2月13日
市民グループ・みんなで決めよう「原発」国民投票
関西有志一同

私たち市民グループ「みんなで決めよう『原発』国民投票」は、日本の原発をどうするかについて国民投票を求める会であると同時に、直接民主制が、選挙などの間接民主制を補完するものとして、民意を担保し、民度を深化させる、重要な制度であると認識し、その一環として日本国内での住民投票運動を支援する活動を続けています。2012年には東京都と同時期に、大阪市に対し「関西電力管内の原子力発電所の稼働の是非を問う『原発』大阪市民投票の条例制定を求める直接請求」運動を推進しました。大阪市民とともにその運動を行ってきた関西グループとして、この5月に実施されようとしている「大阪都構想(大阪市廃止・分割)に関する住民投票」(仮名)は、私たちがめざす民主主義の実現としての住民投票のあり方から、後述の3つの問題点において逸脱したものと考えています。
よって以下の提言をします。

【3つの提言】

提言① 協定書案の今議会会期内での議決の延期を求めます。
議会としての公聴会や参考人招致など議会の役割を果たし、市民レベルでの徹底した理解と議論を経た後で実施すべきです。
提言② 協定書案議決の延期をするしないに関わらず、市民に対し都構想のメリット・デメリットの共有・広報をさらに時間をかけ徹底して行うことを求めます。加えて市内各区やマスメディア上での賛否両派による公開討論会の開催を求めます。
提言③ 住民投票の実施条例に成立要件として「絶対得票率」の採用を求めます。

【3つの問題点】

問題点① 市民への周知と議論があまりに不足しています。

住民投票は対立の勝敗を決することではありません。賛否両論を住民が理解し議論を深めることで、民主的な対話による解決に導くものです。しかしながら大阪都構想は、設計図である協定書案の読み込みさえ、必ずしも多くの府民・市民によってなされているとは言えません。また今回の結果が尊重義務ではなく強制力を持っていることも周知されていません。

橋下市長は「車を買う時にいちいち設計図なんか読まない。車のエンジンの細かい仕組みまで市民が知る必要はない」などと発言しています。本来、市民の理解と議論を必要とする住民投票において、それを否定しているのではないでしょうか。また議会も協定書案の内容の討議と市民への公開よりも、党派による否決を優先してきたことは否めないでしょう。

問題点② 市長信任へのすり替えが意図的になされています。

住民投票は住民が組織や支持政党から離れ、ひとつの政策課題について個人として理性的な判断をすることで、選挙を補完することができます。しかし橋下市長は「大阪都構想住民投票が否決されたら辞任する」などと自らの進退問題とからめることにより、自身の信任投票のように演出しています。こうした発言は撤回し、大阪都構想の是非に対する民意のみを純粋に諮るべきでしょう。

問題点③ 住民投票の成立要件が明らかにされていません。

住民投票は選挙のように代表者への信任を問うものではなく、住民が自身に直接関わる事柄を判断するものであり、より多くの住民の参加が推奨されるべきです。現在、今回の住民投票の根拠となる法律に成立要件の採用を妨げる規定がないにも関わらず、民意を判定する基準となる最低投票率または有効投票数などの成立要件が明らかではありません。もし規定がない場合、多数の棄権でも成立してしまい、それでは民意が確かに表明されたとは言えない結果となります。

ただし最低投票率による成立要件は、住民投票の成立そのものを阻止しようとするボイコット運動がなされる場合があり、議論が不活発になる危険性があります。よって『総有権者数の何分の1以上の得票率』などの絶対得票率※1を成立要件に採用すべきと考えます。海外の例の一つとして、ドイツでは16州中13州※2において総有権者数の25%から30%の間で設定されており、我が国では地方公共団体の千葉県我孫子市の市民投票制度※3で総有権者数の3分の1以上を成立要件とする採用事例が既にあります。

※1 絶対得票率=有効賛成投票数/総有権者数
※2 <参考資料>武田真一郎(2014)「ドイツの住民投票の成立要件について」、「団法人自治体国際化協会(2011)「ドイツの地方自治(概要版)」、阿部成治(2003)「ドイツにおける自治体レベルの住民投票制度−13州の比較検討−」
※3 <参考資料>我孫子市HP 市民投票制度 http://www.city.abiko.chiba.jp/index.cfm/19,0,203,819,html

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カテゴリー:地域の活動

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