11/24台湾国民投票の結果速報

2018年11月24日(土)、台湾で統一地方選挙と同時に国民投票(*)が行われ、10の議案についてその是非が問われました。

国民投票の投票結果は即日開票され、議案別の成立・非成立、賛成票数、反対票数、投票率などの詳細が中央選挙管理委員のWebサイトに掲載されています。

中国語版と英語版しかありませんが、表形式で分かりやすくまとまっています。各議案の日本語訳については、「10月19日の当会の投稿」をご覧ください。

国民投票結果詳細(中国語版)

国民投票結果詳細(英語版)

*日本では国家レベルで行われるものが「国民投票」と呼ばれ、地域レベルで行われるものが「住民投票」と呼ばれます。一方台湾では「国民投票」も「住民投票」も使われず、台湾全土を対象とするものと地域レベルを対象とするものが合わせて「公民投票」と呼ばれます。台湾が国家として認められていないことから、日本のメディアでは「住民投票」という呼称が使われることが多いようですが、「台湾全土を対象とする」ということを考えると「国民投票」としての性質をより備えていることから、当会では原則的に今回の投票を「国民投票」と呼ぶこととします。

宮城県「原発」県民投票の直接請求運動が法定署名数を突破しました

自治体ごとにまとめられた署名簿(中間報告会にて)

「女川原発再稼働の是非をみんなで決める会」は11/21に記者会見を行い、現時点での署名数が57,294筆に達して法定署名数(※約4万筆。正確な数字は12/1に確定)を上回ったと発表しました。

会から公表されている署名数を見ると、署名開始から一ヶ月の11/2時点では17,105筆、それから二週間後の11/18には38,255筆、そして11/21には57,294筆と、加速度的な勢いで伸びを見せています。受任者に預けた署名簿の大半が最終週以降に事務局に届くであろうことを考え合わせると、最終的な署名数は会が目標として掲げる10万筆に届く勢い、場合によってはさらに大きなうねりを生んでいくことすら期待できます。

原発立地自治体であり、福島県の隣県でもある宮城県の有権者の、再稼働に対する問題意識や自分たちで決めたいという思いの広がりと高まりを感じさせます。

●2週間で2%を突破した女川町

署名活動でとりわけ驚異的な動きが起きているのは、原発立地自治体の女川町です。女川町の有権者は5,704人。署名開始2週間で2%の115人を突破し、1ヶ月で10%に当たる570人強の署名が集まったたため、目標を20%に上方修正したとのこと。県議選の投票率が50%そこそこであることを考えると、有権者の20%が署名をするということは地元の県議にとって大変なインパクトのある数字と言えます。

●街頭での署名の反応のよさ

街頭での署名集め

11/3に仙台の震災復興記念館で行われた中間報告会では、報告の一つとして「街頭での署名が有効である」こと、仙台駅近くの平和ビル前での署名活動の回数を増やすことにしたことがあげられていました。利害の絡む原発立地県なので、人目を気にせずに署名できる戸別訪問が重要視されていたが、街頭署名での反響も予想以上に大きかったとのこと。「平均1分で1筆とれる」という街頭署名の反応の良さは、他の署名や他地域で原発県民投票の直接請求の署名活動と比較しても特筆すべき点と言えます。

●宣伝カーを二台に増やす

署名だけでなく、カンパの集まり等も想定以上で、11月からは宣伝カーの台数を一台から二台に増やし、さらなる浸透を図っているとのこと。

●メディア報道

メディアでの報道も活発で、推定購読者数が人口の約5割と言われる河北新報始め、新聞各紙の報道の他、テレビ放映もなされ、広範囲にわたる意識喚起に一役買ってる模様です。

「県南での広がり」や「若者への訴求」など、中間報告会の際にはいくつかの課題も挙げられていましたが、現時点ではそうした個々の課題設定が霞んでしまうほどの民意の盛り上がりが起きつつあるように見受けられます。

⚫今後の展望

●署名期間とその後のスケジュール

署名ができるお店を引き続き募集している

署名期間は2018 11/2〜 12/2ですが、丸森町については町長選があるため11/14で一旦署名禁止になり、町長選があった場合は12/17、無投票なら12/12ないし12/13から署名が再開されます。

いずれにせよ、署名簿は12月中には選管に提出され、県民投票条例案は早ければ2019年2月の県議会定例会で審議・採決が見込まれます。

●東北電力の方針

東北電力は女川原発の今後の運転について以下のように述べています

女川原発1号機 廃炉
女川原発2号機 2020年の運転再開を目ざす
女川原発3号機 できるだけ早く審査の申請をしたい
女川原発4号機 不明

女川原発2号機は来年(2019年)春には原子力規制委員会の新規制基準をクリアすることが見込まれており、その後は地元同意を得て2020年の運転再開というのが東北電力のシナリオです。県民が現実的に再稼動を意識するこの時期に、県民投票運動が起きている意義は大きいと言えます。また、今年11月には、県議選も控えており、県議会議員にとっても意識せざるを得ないタイミングと言えます。

●知事の意見の変化

村井宮城県知事は2013年の記者会見では(川勝静岡県知事が静岡県での県民投票に関して賛成の意見を示した際に)、記者の質問に対して、あくまで一般論としながらも「知事と議会で議論して決めるべき」という旨の発言をしています。

今年11/5の知事記者会見では、「署名が集まれば粛々と手続きを進める」と述べたのみで、県民投票への賛否については言及していませんでした。

11/21づけの報道によると、知事は今回の法定署名数突破を受けて、「選挙管理委員会とも十分調整を図りながら、手続きなどに瑕疵がないよう万全を期したい」とコメントしました。発言のトーンに若干の変化が見て取れます。

⚫まとめ

多々良代表はこの県民投票運動について「県民の自己決定権を求める運動」「県民から待たれていた運動」と表現されています。その言葉の通り、宮城県の方々の当事者意識の切実さが、少なくとも現時点での署名数からは読み取れます。その民意の重みを知事や議会が受け止め、県民投票が実現できるように、さらに大きく署名数を伸ばし、署名数に現れていない裾野の広がりまで可視化できるような運動が展開されていくことを期待したいと思います。当会は引き続き本直接請求の動きを注視し、お知らせし、また可能な支援を行っていきます。

記者会見のプレスリリース全文(「みんなで決める会」のFBページが開きます)

(鹿野)

11/24(土)に台湾で国民投票が行われます

政府広報の表紙

11月24日(土)に、台湾で国民投票が行われます。統一地方選挙と同時に実施されるのですが、「同性婚」「LGBT教育」「脱原発」「オリンピックへの「台湾」名での参加」など10件もの議案が国民投票で同時に問われます。

<みんなで決めよう「原発」国民投票>は、この国民投票に大変注目しています。台湾が民主主義国家になったのは1987年に戒厳令が解除され複数政党制に移行したときですから、その歴史はまだ31年に過ぎません。しかし、台湾では日本よりも二大政党制が定着しており、また国民投票によりダイレクトに国民の声を反映する仕組みが整っているのです。

いわば台湾は、後発ではあるものの、民主主義の「超成長国」と言えるのではないかと思います。そんな台湾の国民投票の模様を伝えるために、投票日前に当会の二人のスタッフが現地に入り、皆さんにレポートする予定です。

まずは、今回の国民投票についての概要をお伝えします。

■2017年の公民投票法の改正

2003年に公民投票法(*1)が成立してから、台湾で過去に国民投票が行われたのは3回、計6件の事案についてです。今回一度に10件もの議題について投票が行われることになったのは、2017年に公民投票法が改正され、国民投票の提起要件や成立要件が大幅に緩和されたからです。

(*1)台湾では「国民投票」という言葉は使われず、「公民投票」と言われ、自治体レベルでの住民投票もこの概念に含まれます。

改正されたポイントは多岐に渡りますが、中でも影響が大きかったのは成立要件についてでしょう。以前の法律では、投票率が50%に達しなければ投票の結果が有効にならない、という成立要件がありました。一般的に「最低投票率」と呼ばれるものです。その結果、過去6件の国民投票は、ボイコット運動が発生して投票率が50%に届かなかったため、いずれも「不成立」となりました。それが今回、「賛成票数が反対票数を上回り、かつ有権者の25%を超えた場合」に「成立」となるように法律が改正されました。これは「絶対得票率」と呼ばれるもので、投票率に関わらず賛成の側が25%の票を取れば「成立」となることから、ボイコット運動が発生しづらいという特徴があります。

また、必要な署名数の緩和も大きな変更でした。旧公民投票法では国民投票を提起するために集めなければならない署名数は「有権者の5%」でした。これが2017年の改正で「有権者の1.5%」に変わったのです。台湾の人口は現在2,358万人でそのうち有権者は1,900万人ほどと言われています。旧基準だと必要署名数は95万筆(1,900 X 0.05)ですが、新しい基準では28.5万筆(1,900 X 0.015)です。署名を集めるグループにとって、この違いは大きいでしょう。

この成立要件の変更と署名数の緩和を受けて、市民グループや政党が一気に国民投票を提起したわけです。

議題が10もあるとその詳細を全て理解するのは容易ではありませんが、以下に簡単に紹介したいと思います。過去に6件の国民投票が既に行われているので、今回は7から始まっています。

■国民党が提起した3議案

〇第7案 「毎年平均少なくとも1%引き下げ」という方法で火力発電所の発電量を徐々に引き下げる方法に同意するか否か。

〇第8案 「あらゆる火力発電所あるいは発電機(深澳火力発電所の建設含む)の新たな建設、拡充工事を停止する」というエネルギー政策の策定に同意するか否か。

〇第9案 日本の福島県をはじめとする東日本大震災の放射能汚染地域、つまり福島県及びその周辺4県(茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)からの農産品や食品の輸入禁止を続けることに同意するか否か。

7、8、9は、国民党が提起したものです。台湾は二大政党制で、現在与党の民進党と野党の国民党とが激しくしのぎを削っています。今回、二大政党の野党側が3つも国民投票を仕掛けてきたわけです。中国と同じように台湾でもPM 2.5などによる大気汚染が大きな問題となっており、7と8はその大気汚染を減らすことを大きな目的として掲げています。9は、蔡英文・民進党政権が輸入禁止を解くことを考慮していることから、それに反対するものとして提起されました。国民党のWebサイトを見ると、3つまとめて「護健康」(健康を守る)という観点から賛成票を投じることを呼び掛けています。

■同性婚・LGBT教育に反対する3議案

〇第10案 民法が規定する婚姻要件が一男一女の結合に限定されるべきであることに同意するか否か。

〇第11案 義務教育の段階(中学及び小学校)で、教育部及び各レベルの学校が児童・生徒に対して「性別平等教育法(=ジェンダー平等教育法)施行細則が定めるLGBT教育を実施すべきではないことに同意するか否か。

〇第12案 民法の婚姻に関する規定以外の方法で、同性カップルが永続的共同生活を営む権利を保障することに同意するか否か。

2017年5月、台湾の司法最高機関である大法官が「同性同士の婚姻を認めていない民法は違憲」と判断し、2年以内に民法を改正するか、新しい法律を作ることを政治に対して求めました。

10、11、12は、この判決に対抗するように「下一代幸福聯盟」(日本語に逐語訳すると「次世代幸福同盟」)というキリスト教系の保守団体が提起したものです。民法では同性婚を認めず(10)、代わりにパートナーシップ法を成立させ(12)、併せてLGBT教育を抑制しよう(11)という3つの提案を仕掛けてきました。

■同性婚・LGBT教育を求める2議案

〇第14案 民法の婚姻に関する章が同性カップルによる婚姻関係を保障することに同意するか否か。

〇第15案「性別平等教育法」が義務教育の各段階でジェンダーの平等に関する教育を実施するよう明記し、且つその内容が感情教育、性教育、LGBT教育などに関する課程を盛り込むべきだとすることに同意するか否か。

14と15は、保守派が提起する10、11、12の動きに危機感を覚えた人たちが、それに対抗するものとして提起したものです。14は同性婚を民法上で婚姻と認めることの是非(10の裏返し)で、15がLGBT教育を行うことの是非(11の裏返し)になります。

「Aに反対」と「Aに賛成」という二つの議案が国民投票で同時に問われるのは、世界的にも極めて珍しいのではないかと思います。普通は「同性婚に賛成ですか?反対ですか?」というように一つにまとめられることでしょう。

■オリンピックなどに「台湾」の名称で

〇第13案 台湾(Taiwan)の名称で、あらゆる国際競技大会や2020年東京五輪に出場参加することに同意するか否か。

13は、東京オリンピックなどのスポーツの国際大会に従来の「Chinese Taipei」という名義ではなく「Taiwan」名義で参加することへの賛否を問うものです。メキシコオリンピックに台湾代表として参加し、80mハードルで銅メダルを獲得した紀政(きせい)さんが提起者になっています。当時紀政さんは「Taiwan」名義での参加を経験していて、今回も同じようにすべきだというのです。

国際機関や国際的なイベントで「台湾」という名称を使うことを求める運動は「正名運動」と呼ばれていて、台湾では根強い運動です。なお、現在の公民投票法では、独立の是非を議題とすることは認められていません。

■「2025年脱原発」を定めた法律条文の削除

〇第16案 「電業法(日本の「電気事業法」に相当)」の第95条第1項「台湾にある原子力発電所は2025年までにすべての運転を停止しなければならない」の条文を削除することに同意するか否か。

2025年に脱原発するという現在の国家の政策に反対して、「以核養綠 」というグループが提起したものです。再生可能エネルギーの割合を現在の5%から20%に増やすという政府の計画は非現実的である一方、グリーンエナジーであり環境への不可も少ない原子力発電を活用すべきだと訴えています。団体の名称に「緑」という単語を入れていることからも、この点を強く推していることがうかがえます。

*当記事の各議案の日本語訳は、TAIWAN TODAYの下記の記事を参考にさせていただきました。
過去最多10項目の公民投票、11/24の統一地方選挙と同時実施へ(発信日: 2018/10/25)

(鹿野)

2018年11月19日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:活動予定

11/24(土)に台湾で国民投票が行われます

\"\" 政府広報の表紙[/caption]

11月24日(土)に、台湾で国民投票が行われます。統一地方選挙と同時に実施されるのですが、「同性婚」「LGBT教育」「脱原発」「オリンピックへの「台湾」名での参加」など10件もの議案が国民投票で同時に問われます。

<みんなで決めよう「原発」国民投票>は、この国民投票に大変注目しています。台湾が民主主義国家になったのは1987年に戒厳令が解除され複数政党制に移行したときですから、その歴史はまだ31年に過ぎません。しかし、台湾では日本よりも二大政党制が定着しており、また国民投票によりダイレクトに国民の声を反映する仕組みが整っているのです。

いわば台湾は、後発ではあるものの、民主主義の「超成長国」と言えるのではないかと思います。そんな台湾の国民投票の模様を伝えるために、投票日前に当会の二人のスタッフが現地に入り、皆さんにレポートする予定です。

まずは、今回の国民投票についての概要をお伝えします。

■2017年の公民投票法の改正

2003年に公民投票法(*1)が成立してから、台湾で過去に国民投票が行われたのは3回、計6件の事案についてです。今回一度に10件もの議題について投票が行われることになったのは、2017年に公民投票法が改正され、国民投票の提起要件や成立要件が大幅に緩和されたからです。

(*1)台湾では「国民投票」という言葉は使われず、「公民投票」と言われ、自治体レベルでの住民投票もこの概念に含まれます。

改正されたポイントは多岐に渡りますが、中でも影響が大きかったのは成立要件についてでしょう。以前の法律では、投票率が50%に達しなければ投票の結果が有効にならない、という成立要件がありました。一般的に「最低投票率」と呼ばれるものです。その結果、過去6件の国民投票は、ボイコット運動が発生して投票率が50%に届かなかったため、いずれも「不成立」となりました。それが今回、「賛成票数が反対票数を上回り、かつ有権者の25%を超えた場合」に「成立」となるように法律が改正されました。これは「絶対得票率」と呼ばれるもので、投票率に関わらず賛成の側が25%の票を取れば「成立」となることから、ボイコット運動が発生しづらいという特徴があります。

また、必要な署名数の緩和も大きな変更でした。旧公民投票法では国民投票を提起するために集めなければならない署名数は「有権者の5%」でした。これが2017年の改正で「有権者の1.5%」に変わったのです。台湾の人口は現在2,358万人でそのうち有権者は1,900万人ほどと言われています。旧基準だと必要署名数は95万筆(1,900 X 0.05)ですが、新しい基準では28.5万筆(1,900 X 0.015)です。署名を集めるグループにとって、この違いは大きいでしょう。

この成立要件の変更と署名数の緩和を受けて、市民グループや政党が一気に国民投票を提起したわけです。

議題が10もあるとその詳細を全て理解するのは容易ではありませんが、以下に簡単に紹介したいと思います。過去に6件の国民投票が既に行われているので、今回は7から始まっています。

■国民党が提起した3議案

〇第7案 「毎年平均少なくとも1%引き下げ」という方法で火力発電所の発電量を徐々に引き下げる方法に同意するか否か。
〇第8案 「あらゆる火力発電所あるいは発電機(深澳火力発電所の建設含む)の新たな建設、拡充工事を停止する」というエネルギー政策の策定に同意するか否か。
〇第9案 日本の福島県をはじめとする東日本大震災の放射能汚染地域、つまり福島県及びその周辺4県(茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)からの農産品や食品の輸入禁止を続けることに同意するか否か。

7、8、9は、国民党が提起したものです。台湾は二大政党制で、現在与党の民進党と野党の国民党とが激しくしのぎを削っています。今回、二大政党の野党側が3つも国民投票を仕掛けてきたわけです。中国と同じように台湾でもPM 2.5などによる大気汚染が大きな問題となっており、7と8はその大気汚染を減らすことを大きな目的として掲げています。9は、蔡英文・民進党政権が輸入禁止を解くことを考慮していることから、それに反対するものとして提起されました。国民党のWebサイトを見ると、3つまとめて「護健康」(健康を守る)という観点から賛成票を投じることを呼び掛けています。

■同性婚・LGBT教育に反対する3議案

〇第10案 民法が規定する婚姻要件が一男一女の結合に限定されるべきであることに同意するか否か。
〇第11案 義務教育の段階(中学及び小学校)で、教育部及び各レベルの学校が児童・生徒に対して「性別平等教育法(=ジェンダー平等教育法)施行細則が定めるLGBT教育を実施すべきではないことに同意するか否か。
〇第12案 民法の婚姻に関する規定以外の方法で、同性カップルが永続的共同生活を営む権利を保障することに同意するか否か。

2017年5月、台湾の司法最高機関である大法官が「同性同士の婚姻を認めていない民法は違憲」と判断し、2年以内に民法を改正するか、新しい法律を作ることを政治に対して求めました。

10、11、12は、この判決に対抗するように「下一代幸福聯盟」(日本語に逐語訳すると「次世代幸福同盟」)というキリスト教系の保守団体が提起したものです。民法では同性婚を認めず(10)、代わりにパートナーシップ法を成立させ(12)、併せてLGBT教育を抑制しよう(11)という3つの提案を仕掛けてきました。

■同性婚・LGBT教育を求める2議案

〇第14案 民法の婚姻に関する章が同性カップルによる婚姻関係を保障することに同意するか否か。
〇第15案「性別平等教育法」が義務教育の各段階でジェンダーの平等に関する教育を実施するよう明記し、且つその内容が感情教育、性教育、LGBT教育などに関する課程を盛り込むべきだとすることに同意するか否か。

14と15は、保守派が提起する10、11、12の動きに危機感を覚えた人たちが、それに対抗するものとして提起したものです。14は同性婚を民法上で婚姻と認めることの是非(10の裏返し)で、15がLGBT教育を行うことの是非(11の裏返し)になります。

「Aに反対」と「Aに賛成」という二つの議案が国民投票で同時に問われるのは、世界的にも極めて珍しいのではないかと思います。普通は「同性婚に賛成ですか?反対ですか?」というように一つにまとめられることでしょう。

■オリンピックなどに「台湾」の名称で

〇第13案 台湾(Taiwan)の名称で、あらゆる国際競技大会や2020年東京五輪に出場参加することに同意するか否か。

13は、東京オリンピックなどのスポーツの国際大会に従来の「Chinese Taipei」という名義ではなく「Taiwan」名義で参加することへの賛否を問うものです。メキシコオリンピックに台湾代表として参加し、80mハードルで銅メダルを獲得した紀政(きせい)さんが提起者になっています。当時紀政さんは「Taiwan」名義での参加を経験していて、今回も同じようにすべきだというのです。

国際機関や国際的なイベントで「台湾」という名称を使うことを求める運動は「正名運動」と呼ばれていて、台湾では根強い運動です。なお、現在の公民投票法では、独立の是非を議題とすることは認められていません。

■「2025年脱原発」を定めた法律条文の削除

〇第16案 「電業法(日本の「電気事業法」に相当)」の第95条第1項「台湾にある原子力発電所は2025年までにすべての運転を停止しなければならない」の条文を削除することに同意するか否か。

2025年に脱原発するという現在の国家の政策に反対して、「以核養綠 」というグループが提起したものです。再生可能エネルギーの割合を現在の5%から20%に増やすという政府の計画は非現実的である一方、グリーンエナジーであり環境への不可も少ない原子力発電を活用すべきだと訴えています。団体の名称に「緑」という単語を入れていることからも、この点を強く推していることがうかがえます。

*当記事の各議案の日本語訳は、TAIWAN TODAYの下記の記事を参考にさせていただきました。
過去最多10項目の公民投票、11/24の統一地方選挙と同時実施へ(発信日: 2018/10/25)

(鹿野)