– 2015年2月19日 佐賀新聞 - 
防衛省の黒江哲郎防衛政策局長は18日、佐賀空港への新型輸送機オスプレイ配備計画に伴う米軍の利用について、「陸上自衛隊の基地ができなければ分からない」と述べ、現時点では予測がつかないと自民党国防部会で説明した。山口祥義佐賀県知事は受け入れの判断に当たり米軍を含む計画の全体像を明らかにするよう国に求めており、協議の長期化は避けられない情勢になった。

敗戦後も見えない形で対米従属が続く
敗戦後も見えない形で対米従属が続く

TPPにしてもオスプレイにしてもなぜ日本政府は国民が嫌がる政策を無理やり押し付けてくるのだろうか?

その理由は簡単で、アメリカが望んでいるからだ。日本が行なっているほとんどの政策は、安倍首相が考えたり日本政府が考えていると思うのはとんでもない勘違いで、アメリカ政府の指示にもとづき、日本政府が実行しているに過ぎない。アメリカの指示は『年次改革要望書』という形で毎年秋にアメリカから日本に出されるが、一般国民はこのことを知らない(数年前この内容がアメリカ大使館のホームページ上に公開されていて大騒ぎになったことがあったが、さすがに今は非公開になったようだ)。

日本は敗戦時、アメリカのGHQによって占領されたが、その占領は実質的に今も続いていてアメリカの属国状態が続いている。占領や属国という言葉がどうしても受け入れられないなら、子会社と言ってもいいかもしれない。日本はアメリカの子会社であって、親会社のアメリカの指示にはまったく逆らうことができないのだ。

アメリカにとってこれほど美味しいことはない。子会社の日本が汗水たらして稼いだ金をすべてアメリカが吸い上げることができるのだ。苦労せずに生き血を吸い続けることができる。その証拠に日本はアメリカの国債を毎年買い続けている。いや買い続けなければいけないのだ。その額はおおやけにされているだけで100兆円を超えていて(一説に800兆円というのもある)永久に日本に返済されることはない。それだけの金をアメリカの国債ではなく日本国内に投資することが出来れば、日本はおそらくアメリカ以上の世界でもっとも豊かな国になれることだろう。

かつて橋本龍太郎という総理大臣が『アメリカの国債を売りたい衝動にられることがある』と発言したことがあったが、それが結局彼の致命傷になってしまった。

今回の佐賀へのオスプレイ配備も、アメリカ軍とは事前に交渉することなく、とにかく基地を作ってしまった後でアメリカ軍をお迎えしようという『おもてなし』のようだ。そのことが昨日の防衛省政策局長の答弁で明らかになった。

山口祥義佐賀県知事は『全体像、将来像を示してほしい』と要求している。知事にはこのまっとうな要求を決して引っ込めることなく貫いていただきたい。そうすることで日本の根本的問題が白日の元にされることになるからだ。

【橋本龍太郎発言詳細(参考)】

橋本龍太郎さんが、首相当時の1997年6月23日、アメリカのコロンビア大学での講演を終えた後の質疑応答でのコメントで、ジョーク交じりに、日本保有の米国債売却の可能性について触れた。

「この場には、アメリカ連邦政府の職員の方はいらっしゃいませんでしょうね。本当のことを申し上げれば、われわれは、大量の米国債を売却しようとする気になったことは、幾度かあります。

たとえば、ミッキー・カンターさんとやりあったときとか、アメリカが国際準備通貨としてのドルの役割を維持しようとしなかったときとかですね。 米国債を保有することは、われわれにとって唯一の選択肢ではないのです。むしろ、米国債を売却して、金を購入することも、もうひとつの選択肢なのです。

でも、日本がいったんそのようなことをしようとなれば、アメリカ経済に計り知れない衝撃を与えることになりますよね。そうじゃないですか?

多くの国が、米国債を、外貨準備高として、保有しています。 これらの国は、ドルが下落しても、米国債を買い続けるでしょうし、そのことは、アメリカ経済にとって、かなりの支えになるはずです。

私は、そうなることを願っているのですが、アメリカが為替レートの安定性の維持に努力し、協力するであろうことは、かなり、明白なはずです。 ですから、われわれは、米国債を売却し、外貨準備を金に変えようとしたい誘惑に、屈服することはないでしょう。」

 翌日のニューヨーク市場は、1987年のブラックマンデー以来最大の192ポイントの下げ幅を記録した。
その後、日本政府の否定により、沈静化したが、当時、これは、単なるジョークや即席の発言(the cuff remark )ではなく、アメリカの円高誘導に対するけん制(threat)を意図したものだとの説も、流れたのである。

1998年12月17日のニューヨークタイムズは、バンカーズ・トラストのWilliam Overholt氏の例えとして、大恐慌の時の大統領に橋本さんをなぞらえ「ハーバード・フーバー・ハシモト」(フーバー大統領の名前はHerbert C Hoover であるところから、アメリカ恐慌を引き起こしかけた橋本竜太郎さんとの揶揄であろう。)との記事を出した。
この一件があった後、日本保有の米国債売却の話は、日米間でタブー視され続けてきた。