地方創生とはいったい何なのだろうか?
それは経済の豊かさだけではないはずだ。

いや、そうではなく精神的豊かさを求めていくのがこれからの地方のあり方だろう。
物質的なもの、金を執拗に求める生き方に対して世界が大きく変わりつつある。

バブルの時代を知っているだろうか?
かつて日本の土地代でアメリカ全土が買えるという時代があった。ジャパンアズ・ナンバーワンといわれた時代、日本人はアメリカの企業、資産を買いまくりやがて経済力で世界を制覇すると思い込んだ。
しかし一方で多くの者の本業がおろそかになり、株や土地などを買いあさり金儲けに踊り出した。株価や地代は急騰し、投資が投資をよんだ。30坪ほどの都内の一軒家の価格は軽く1億円を超え、サラリーマンが一生働いても一軒家の購入はできなくなった。金を持っているものが偉い、貧乏人は存在価値ががない、そんな風潮を誰もが当然のことだと考えるようになっていたのだ。

その後あえなくバブルは崩壊し、多くの企業や個人が莫大な借金を抱え込むことになってしまった。借金を返すだけに生きなければならない人生、それが空白の20年の正体であったと言える。

それは日本人が本来あるべき姿を取り戻すための厳しいしっぺ返しだったのだろう。

バブルに狂った浅ましい生き方を猛反省し新しい道を踏み出すことができれば、日本はもっと豊かな国家になれる。精神的に大人の国家になれるはずなのだ。

しかし振り回されるだけの日本人はまだその反省がよくできていない。バブル崩壊の意味がわかっていない。だから未だに『空白』なのだ。

その証拠に日本政府は再びバブルを復活させるための政策を取り始めた。それがアベノミクスと呼ばれるものの本質だ。なんど同じ失敗をやったらこの国の指導者はわかるのだろうか?

世界はデフレ経済にむかい始めた。それを無理にインフレにもっていこうとする事自体が間違っている。IT革命が進行し、生産力が飛躍的に上がっているのだから物価が下がるのは当然なのだ。我々は物価が下がっていくことを大いに享受しなければいけない。それこそが我々が長い歴史の中でやっと手に入れることができた果実なのだから。

もちろん物価が下がればそれで競争をできなくなる企業も増えていくだろう。それはそれでいい。
人は短い時間だけ働き、賃金は下がっても今までよりも何十倍も豊かな暮らしができるようになるはず。
労働時間が短くなって余った時間を文化や芸術スポーツに向けていくのがこれからの正しい地方創生のあり方だろう。

さがさくらマラソン。開催するのも参加するのも大したお金はかからない。大した有名人も集まらない。それで大いに結構。多くの人がこのマラソンに参加するために一年間の地道なトレーニングに黙々と打ち込むのだ。金は必要としない。精神的な強さと向上心、本物の豊かさが求められる。

82歳で参加した佐賀市の石橋秀治さん
82歳で参加した佐賀市の石橋秀治さん