オスプレイの佐賀空港への配備がくわだてられたとき、私は地元住民の反対運動が湧き上がって計画は頓挫すると予想した。
オスプレイが配備されることになれば、住民は毎日異常な騒音で悩まされるだろうし、墜落の危険性と隣合わせで不安な日々を送らなければならなくなる。オスプレイと一緒にさらに米軍がやってくれば治安が劣悪になるのは当然で、住民は不幸のどん底に叩き落されてしまうことだろう。
しかし、現実的には反対運動はほとんど起こっていない。オスプレイに反対するのは共産党や社民党といったほぼ定番の政治グループだけで、一般市民の盛り上がりがほとんどないのだ。そしてマスコミの世論調査でもオスプレイの配備に賛成する割合が半数ぐらいまでになっている。
オスプレイに賛成する理由を聞くと2つある。
ひとつは国防の必要性と沖縄の負担軽減。そしてもうひとつは地元の経済発展だ。
自分たちの生活を犠牲にしてまで沖縄の人々の事を考える必要があるというのは愛国者らしくよそおったまったくのきれい事だし、地元の経済発展というのも全体のことを考えているように見せかけて本心をぼかしている。
本心は自分のカネがほしいのだ。佐賀には田畑を所有する地主が数多く存在している。彼らはオスプレイが来ることによって新しい設備や道路ができて自分たちの土地が買い上げられることを願っているのだ。
空港周辺の地主は言ってみれば未公開株を所有しているようなものだ。未公開株が上場されることになれば資産価値が一気に何百倍にも膨れ上がる。今空港周辺の住民はオスプレイバブルに内心沸き立っている。佐賀空港の軍事基地化を阻止するといった正論が通らないのはそのためだ。