死傷者が出たハワイでのオスプレイ演習事故に対して不謹慎な言い方になるが、日本国民の立場で言えば事故は絶好のタイミングで起きたと言っていいだろう。
これまで静観を続けてきた地域住民がやっと反対表明を出すきっかけとなった。

これまでオスプレイや原発の反対運動といえば決まって共産党や社民党系の組織を背景にした人たちによるものであったが、今回のように住民がみずから意思を示したことは意義が大きいといえる。

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(佐賀新聞ライブ 5月28日)

■対策協、6月の集会で

佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画をめぐり、佐賀市川副町の地元有志でつくる対策協議会(古賀初次会長)が6月7日、昨年8月の発足以来となる集会を開く。協議会は計画に中立の態度を取ってきたが、オスプレイの安全性や漁業への影響を問題視し、古賀会長が反対を表明する意向を示している。

協議会は昨年8月下旬、住民に十分な説明がないまま防衛省が整備費を概算要求したことをきっかけに、地元有志約150人で結成した。情報収集が目的で賛否は明らかにしてこなかったが、ハワイで5月17日に起きた米海兵隊MV22オスプレイの墜落事故や、新たな安全保障法制への懸念もあり、「反対への思いを強くした」(古賀会長)という。

集会は午前10時から、川副町のスポーツパーク川副体育センターで。米軍岩国基地(山口県岩国市)の監視活動を続ける市民団体の共同代表で、岩国市議の田村順玄氏を招き、基地のある街の日常や体験談を聞く。

■「抵抗するなら早く」対策協会長

対策協議会の役員が再始動したのは5月の連休明けだった。「発足した翌月から4月までノリの仕事に追われてしまって…。でも、ずっと気掛かりだった」。ノリ漁業者、古賀初次会長(66)の自宅には、佐賀空港の自衛隊利用計画をめぐる新聞の切り抜きがたまっている。

防衛省はオスプレイの駐機場や格納庫用地として、空港西隣の約30ヘクタールの民有地の取得を目指す。古賀さんも、地元漁協が所有する土地の権利者の一人だ。

事態を不安がるノリ漁の仲間から「次の対策協はいつ?」と尋ねられることはあっても、計画に困惑したまま、あまり話題にしない空気が町にあった。

「あまりうるさくないなら」と容認する声を報道で知った。「地権者の中には糧を得るために土地を手放したい人もいるだろう」と古賀さん。表だって反対の声が挙がらない理由の一つを、こう推し量る。

計画は足踏み状態が続く。それでも、4月に自衛隊ヘリの試験飛行があり、今月26日には国会で安全保障関連法案が審議入りした。

古賀さんには地ならしが進んでいるように映る。「抵抗するなら急ぐ必要がある」。反対色を鮮明にして、「基地のある暮らし」を余儀なくされてきた岩国や沖縄の人たちの肉声に耳を傾けようとしている。

30代の長男は後継者に育った。次男も好んで海に出ている。「息子たちには『父ちゃんは長くはしきらん。あとは仲良く2人で』と伝えている。そんな暮らしのそばに軍事施設なんかいらない」

=オスプレイ 配備の先に=