防衛省は20日、離島防衛に使う垂直離着陸輸送機オスプレイを2015年度に5機導入する方針を固めた。8月末に締め切る15年度予算案の概算要求に盛り込む。配備先は有明海に面し、離島に展開しやすい佐賀空港(佐賀市)を有力視している。小野寺五典防衛相は20日、佐賀県の古川康知事に同空港への配備方針を伝えたと明らかにした。

オスプレイはヘリコプターと飛行機の利点を併せ持つ(米軍横田基地)=共同
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オスプレイはヘリコプターと飛行機の利点を併せ持つ(米軍横田基地)=共同
 政府は18年度までの中期防衛力整備計画(中期防)でオスプレイ17機の導入を明記している。1機あたり100億円以上かかるとされ、5機まとめて調達して経費を抑える。17機を一気に購入しないのは、パイロット養成や格納庫の整備などに時間を要するためだ。15年度に5機を導入した場合でも、実際に運用を始めるのは16年度以降になる可能性がある。

 防衛相は20日、都内で記者団にオスプレイを佐賀空港に配備する意向を表明した。17日に電話で古川知事に「佐賀空港を使わせていただけないか」と伝えたという。

 古川知事は防衛省の配備方針に関し「まずはどういう話があるのかしっかりと聞きたい」と述べるにとどめている。同省は武田良太副大臣を22日に同県へ派遣し、古川知事らに改めて要請する。

 防衛相はオスプレイについて「(離島奪還を担うため18年度までに新設する)水陸機動団とあわせて活用したい」と語った。南西地域の離島防衛での活用を念頭に、佐賀空港を「地理的にいい場所だ」と強調した。沖縄県の那覇空港のように自衛隊と共同で使える空港にする考えも示した。

 佐賀空港については、米軍が沖縄県の普天間基地に配備しているオスプレイの訓練の県外移転先にも検討する。日米両政府は沖縄の負担軽減に向け、訓練の半分程度を県外に移すと合意している。

 防衛相は中期防で掲げた17機すべてを佐賀空港に置く考えを示した。佐賀県吉野ケ里町の陸上自衛隊目達原駐屯地のヘリコプター部隊を佐賀空港に移駐させることで「佐賀県の負担軽減になる」とも語った。

2014/7/21 2:00日本経済新聞 電子版