自衛隊と米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの佐賀空港への配備は、南西防衛強化と沖縄県の基地負担軽減という一石二鳥を見据えた計画だ。佐賀県の古川康知事は国防への理解があり、政府は受け入れの政治決断を期待して白羽の矢を立てた。
「オスプレイは水陸機動団の機動作戦の中核だ」
「配備先は水陸機動連隊と連携を確保できる場所」
菅義偉(よしひで)官房長官は22日の記者会見で、中国の離島侵攻を抑止する上での佐賀空港の有用性を強調した。
陸自は平成30年度までに離島防衛・奪還作戦の主軸となる水陸機動団を新設、3つの水陸機動連隊のうち1つを長崎県佐世保市に置く。その連隊を輸送するのがオスプレイで、佐賀空港は佐世保の機動連隊の拠点まで約60キロしか離れていない。機動連隊とオスプレイは一体運用され、双方の拠点が近いことは有事での高い即応性を担保する。
政府は米軍普天間飛行場のオスプレイを佐賀空港に暫定配備することも視野に入れている。沖縄県の仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)知事が普天間飛行場の5年以内の運用停止を求める一方、その機能を移す名護市辺野古の代替施設は滑走路などの完成まで4、5年かかり、運用停止が間に合わない恐れがあるからだ。
米軍はオスプレイと戦闘部隊を乗せる強襲揚陸艦を佐世保基地に配備しており、米軍にとっても即応性で佐賀空港は沖縄以外では随一の適地。水陸機動連隊との連携も強化でき、防衛省は「米側を説得しやすい」(幹部)とみている。
政府は8月末までに地元の同意を得たい考え。11月の沖縄県知事選を前に仲井真氏の求める負担軽減の実現を迫られていることも一因だが、1カ月余りで古川氏を説得できるかは未知数だ。(半沢尚久)