安倍晋三・自公政権が、陸上自衛隊に2015年度から順次導入予定の垂直離着陸機オスプレイを佐賀空港(佐賀市)に配備する方針を示しました。長崎県の陸自相浦(あいのうら)駐屯地(佐世保市)に、上陸作戦を任務にする「水陸機動連隊」を新設するのに伴う措置で、「日本版海兵隊」を創設する動きの一環です。併せて、沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に配備されているMV22オスプレイを同空港に移転することまで視野に入れ、日米のオスプレイ部隊の一大拠点にしようとしています。地元に過重な基地負担を強いることは許されません。

日本版海兵隊狙う

 安倍政権が示した方針は、民間空港である佐賀空港を軍民共用空港にし、▽18年度までに陸自に17機導入予定のオスプレイ全機を配備▽陸自目達原(めたばる)駐屯地(佐賀県吉野ケ里町)配備のヘリコプター部隊も移転▽普天間基地に代わる新基地(沖縄県名護市)完成までの間、普天間配備のオスプレイ部隊を暫定的に移転することを視野に入れ、米側の理解が得られれば検討を始める―というものです。これに伴い、最大約70機分の駐機場や格納庫などを整備するとしており、民間空港が一転して巨大軍事基地に変容することは明白です。市民、県民などから批判や不安の声が上がっているのは当然です。

 安倍政権が佐賀空港に配備を狙う陸自のオスプレイは、中国を念頭に「南西諸島防衛」のためとして、相浦駐屯地に新設する「水陸機動連隊」の輸送が主な任務です。佐世保市の佐世保港崎辺(さきべ)地区に、同連隊が上陸作戦で使用する水陸両用車の部隊を配備する計画も示されています。

 小野寺五典防衛相は今月上旬の米国訪問で、他国への“殴り込み”作戦(上陸侵攻作戦)を行うため、海兵隊員、オスプレイ、水陸両用車などを輸送する強襲揚陸艦を視察し、「今後このような多目的・多機能な輸送艦というのは大変重要だ」(7日)と述べ、導入を目指す考えを明らかにしました。崎辺地区には大規模な岸壁建設計画もあり、強襲揚陸艦の配備も視野に入れているとみられます。

 佐世保の「水陸機動連隊」と「水陸両用車部隊」、佐賀のオスプレイ部隊が一体となって、「日本版海兵隊」をつくる構想です。他国への“殴り込み”作戦を可能にし、日本を「海外で戦争する国」にする集団的自衛権行使容認の動きを具体化する危険極まりない構想です。

 沖縄県の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が求めている普天間基地の「5年以内の運用停止」に応えるとして、同基地のオスプレイ部隊の暫定移転を提案したことも重大です。一方で、提案自体、「米軍の運用の話なので断定的に申し上げることはできない」(菅義偉官房長官)というように、米側の了解を得ておらず、今後、了解が得られる保証もない、いいかげんなものです。

県民をもてあそぶ

 米側の了解なしに提案したのは、11月の沖縄県知事選に向け、仲井真知事を後押しすることにもっぱら狙いがあるからだと報じられています。オスプレイ配備に不安を強める佐賀市民や県民などをもてあそぶものです。

 安倍政権に配備方針を撤回させるとともに、米海兵隊のオスプレイを撤去させる本土と沖縄の連帯したたたかいが急がれます。