自衛隊が導入する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイや米海兵隊オスプレイの佐賀空港(佐賀市)への配備は、防衛省が昨年末から極秘裏に進めた計画だった。石破茂自民党幹事長と気脈を通じ、旧自治省出身の古川康佐賀県知事と旧知の間柄である元防衛事務次官の増田好平防衛省顧問が特命で主導、施設の設計図も作成していた。
「沖縄の基地負担軽減で成果を示す必要がある」
24日、安倍晋三首相と石破氏は官邸で会談、その認識で一致した。「成果」は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾=ぎのわん=市)の海兵隊オスプレイを佐賀空港に暫定配備する計画だ。
石破氏は、同空港がオスプレイの配備先に適していると見定めていた。
石破氏が防衛相を務めた平成19年9月から20年8月の時期の次官が増田氏だ。防衛省幹部は「佐賀配備は石破氏が増田氏の後ろ盾になっている」と指摘する。
今年4月、幹部OBで構成する省顧問が5人から2人に減り、増田氏より後に次官を務めた2人は退任、次官経験者で増田氏だけが残留した。同氏が特命を帯びていることは明らかになった。
増田氏は昨年12月からオスプレイの佐賀配備に向けて動き始めた。仲井真弘多(なかいまひろかず」沖縄県知事が普天間飛行場の5年以内の運用停止を求め、同飛行場の海兵隊オスプレイの拠点分散が課題に浮上したのがきっかけだ。
その頃、省内では海兵隊オスプレイの分散候補地として群馬県榛東(しんとう)村などを明記したリストも作成されたが、小野寺五典(いつのり)防衛相は南西防衛強化を重視し、佐賀配備案を優先して検討するよう指示した。増田氏は、本来は担当外の省職員を直轄の部下に指名。佐賀空港隣接地に設置するオスプレイの格納庫や駐機場の設計図もすでに作成した。
今月22日、武田良太防衛副大臣が佐賀県を訪れ、古川氏に佐賀空港配備を打診した際も増田氏は同行していた。オスプレイの佐賀配備を担当する部署が決まったのはその直前のことであり、検討作業がいかに隠密だったかを物語っている。(半沢尚久)
2014.7.25 産経ニュース